モリンガ研究報告と新製品企画開発(案)
世界レベルで展開される有用樹木モリンガの研究報告と、差別化出来るオリジナル製品企画開発
研究報告と新商品開発(案)
奇跡の木・モリンガは、植物であるにも関わらず、人の健康生活に欠かすことの出来ない8大栄養素と、 ビタミン群を高数値・ハイバランスで含有しています。
一方、非必須アミノ酸(11種類)、及び必須アミノ酸(9種類)の含有量とそのパーセンテージは特筆されるポイントです。 成分分析データや資料を基に、貴社ならではの差別化オリジナル商品の開発を目指して頂けましたら幸いで御座います。
世界レベルで行われているモリンガ研究報告と効果
- 胃癌発症の危険困子・ピロリ菌に対する高い活性力
モリンガに含有されるフィトケミカルの一種イソチオシアネート類に胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となり、 胃がんの危険困子ともいわれているピロリ菌(Hekicobactor pylori)に対する高い活性が認められ、 チオシアネート類に対し、ピロリ菌の感受性が高いことが明らかになっています。 ピロリ菌に感染している被験者に対し、同様の結果が得られるかどうかの研究が進められており、 予備試験ではイソチオシアネートの有効性が確認されています。 (Tree For Life Journal 2005) / (Dig Dis Sci. 2004 Aug;49(7-8):1088-90. PMID: 15387326)
- モリンガの抗炎症と鎮痛作用
関節炎モデルのラットを用いた研究では、モリンガの根および葉、又はその両方のメタノール抽出液を与え、 熱性痛覚過敏と機械的アロディニア(機械的刺激に対して痛みを感じる病態)を評価したところ、 インドメタシン(非ステロイド性鎮痛剤)と同等に作用することが示されています。 これらの抽出液は、それぞれ単独投与より、混合投与によって高い鎮痛作用が現れることが確認されています。 (Zhong Xi Yi Jie He Xue Bso.2011 Feb;9(2):216-22. PMID: 21288459)
- モリンガのガン予防に対する働き
モリンガの活性成分であるイソチオシアネート[4-(4'-O-acetyl-alpha-L-rhamnopyranosyloxy)benzyl isothiocyanate]と、 関連化合物であるニアジミシン(niazimicin)は、リンパ芽球様細胞(バーキットリンパ腫)において、 ホルボールエステル(TPA)誘発性EBウイルスを阻害することが明らかになっています。
また、ニアジミシンは、腫瘍モデルマウスで、腫瘍の増殖を抑える働きが確認されました。 最近の研究では、モリンガの種子エキスには、発がん物質に対して予防的な働きがあり、皮膚がんを予防できるのではないかと考えられています。 モリンガの腫瘍に対する働きは民間療法家の間では評価されていますが、ヒトに対する研究実施と今後の生物医学的な裏付けの検証が待たれます。 (Asian Pac J Cancer Prev. 2003 Apr-Jun;4(2):131-9. PMID: 1287562)
- その他の研究レポート
血圧の安定や血圧降下作用、利尿作用、コレステロール低下作用、カルシウムチャネル阻害による抗けいれん作用、 抗潰瘍作用、肝保護活性、抗真菌活性などを調べた実験も行なわれており、 いずれからも大変興味深い結果が得られていますがこれらの研究についてもまだヒトを対象とした 臨床試験の実施と有益な結果が得られることを期待するところです。
PubMedのホームページへ
モリンガ原料による新製品企画開発推奨理由
栄養素 | 比較 |
---|---|
ビタミンA | ニンジンの4倍 |
ビタミンB | ホウレン草の35倍 |
ビタミンC | オレンジの7倍 |
カルシウム | ミルクの4倍 |
タンパク質 | ミルクの2倍 |
カリウム | バナナの3倍 |
モリンガの驚異的実像を他の食品と比較し、数字で表現してみました。 これだけでもモリンガが「奇跡の木」「完全植物」と呼ばれる所以をご納得頂ける事でしょう。
しかし、モリンガの脅威はこの程度ではなく、体内で造り出せない必須アミノ酸も驚くほどの高数値で含有しているのです。 当然、「各種疾患からの回復効果と予防」「虚弱体質改善」が十分に期待できます。 ※含有成分詳細は、弊社オリジナル成分分析表(別表)からご確認ください。
新製品企画開発
[案-1] 必須アミノ酸・9種類内のBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)に着目
【必須アミノ酸】 | 含有量 / 100g中 | 働きと効果 |
---|---|---|
バリン | 1.45g | 筋肉疲労の修復、肝機能の向上、筋肉のエネルギー源体のタンパク質を作る能力と肝機能をアップさせる |
ロイシン | 2.24g | 筋肉強化、肝機能の向上、免疫力の向上、筋肉のエネルギー源体のタンパク質を作る能力と肝機能をアップさせる |
イソロイシン | 1.16g | 筋肉疲労回復、筋力強化、肝機能の向上体のタンパク質を作る能力と肝機能をアップさせる |
メチオニン | 0.46g | 肝機能をサポート |
フェニルアラニン | 1.47g | 肝機能をサポート |
トリプトファン | 0.53g | セロトニン生産をサポート |
ヒスチジン | 0.61g | 副交感神経を鎮静させ、貧血改善をサポート |
スレオニン | 1.19g | 肝機能をサポート |
リジン | 1.52g | カルシウムの吸収を促進 |
スポーツサプリメント企画開発(案)
- ーBCAAとは
-
分岐鎖アミノ酸/Branched Chain Amino Acid 必須アミノ酸・全9種の中の「バリン・ロイシン・イソロイシン」をBCAAと云う 筋肉内に存在するエネルギー物質(筋肉増強・筋肉疲労回復作用)
- ーBCAAの働き
-
筋系タンパク質の分解抑制・筋肉内で燃焼しエネルギーとなる
- ー必須アミノ酸とは
-
アミノ酸20種中、体内合成されず、食品から摂取せざるを得ない全9種類を必須アミノ酸と云う
- ーモリンガ原料がスポーツサプリメントに適している理由
-
アスリートが激しいトレーニングをする上で必要とする「BCAA・10g」を食品から摂取する為には ≪牛肉 350g+本マグロの赤身 200g+鶏卵10個≫ が必要と言われていますが、食事で摂るには困難なボリュームであると共に、これから運動開始と云う時にこれだけの量を食べれば、 お腹が重くてトレーニングや競技どころではありません。 したがって、アスリートは「サプリメントでBCAAを補う」事が望ましいでしょう。
したがって、アスリートは「サプリメントでBCAAを補う」事になります。
モリンガの驚くべきBCAA含有率
BCAAは、瞬発力と持久力アップから≪ハイパワープロテイン群≫とも言われています。 弊社モリンガ乾燥葉・成分分析表(別表)の通り、=20種のアミノ酸が高数値であると同時にBestバランスである事がご確認いただけます。
特筆すべきは、〔表-1〕BCAA=バリン・ロイシン・イソロイシンの理想的な含有比率です。 自然配合の妙に驚かれるのではないでしょうか。
モリンガは、人のスポーツ能力を最大限に開発し、
マキシマム・パフォーマンスが期待できるSPORTSサプリメント原料です
米国マサチューセッツ工科大学研究データ
米国マサチューセッツ工科大学のBCAA推奨摂取量比率(1日当り) | ||
---|---|---|
バリン | 1 | 500mg |
ロイシン | 2 | 1000mg |
イソロイシン | 1 | 500mg |
BCAAの特徴
ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに比べ、BCAAは筋肉と脳で代謝され運動エネルギーとなる唯一の必須アミノ酸群である
BCAAと筋力アップ
- ・筋肉の組織は、アクチンとミオシンと云う蛋白質で形成されている
- ・アクチンとミオシンの主成分は、バリン・ロイシン・イソロイシンである
- ・骨格筋(筋肉)強化と、瞬発力及び持久力の向上が期待される
- ・筋肉疲労回避、及びMuscleのパワーアップに不可欠な必須アミノ酸である
- ・BCAAは運動後の筋肉疲労をスピーディーに回復させる働きを有する
BCAAサプリメントの効果的な摂取タイミングと摂取量
- 摂取タイミング
-
摂取後30分前後で血中BCAA濃度がピークになります。
従って運動する30分前に摂取することで、最高のパフォーマンスを発揮できます。
- 摂取量
-
BCAAを2000mg以上摂取した場合、2時間前後効果が持続します。
1000mg摂取の場合、一時間程度で血中BCAA濃度が薄れる事が確認されております。アクティブパホーマンス向上、及び効率的なダイエットを目的として運動する場合は、30分前に「2000mgのBCAA」の摂取をお勧めします。
長時間運動する場合は、2時間おきに2000mgを摂取すると効果的です。 また、運動後に摂取する事で筋肉疲労の回復を助ける働きもします。
必須アミノ酸「BCAA」の種類と主な働き
必須アミノ酸名 | 主な含有食品 | 期待できる作用 |
---|---|---|
バリン | レバー、ドライミルク、プロセスチーズ、子牛肉など | 筋肉疲労の修復、肝機能の向上、筋肉のエネルギー源 |
ロイシン | 牛肉、ハム、レバー、牛乳、チーズ、とうもろこし、ほうれん草など | 筋肉強化、肝機能の向上、免疫力の向上、筋肉のエネルギー源 |
イソロイシン | 鶏肉、鮭、牛乳、チーズなど | 筋肉疲労回復、筋力強化、肝機能の向上 |
「BCAA」は肝臓ではほとんど代謝されず、主に骨格筋と脳で代謝されます。 臓器筋肉の疲労回復促進効果が顕著なため、 医療界ではBCAAが人体にとって重要な機能を持つ必須アミノ酸群である事が知られ、様々な疾患時に対応したアミノ酸製剤としても幅広く応用されております。
一方、人体の最小単位である細胞(DNA及びRND)と細胞の正しい分裂に
アミノ酸とタンパク質は深く関わっています。
[案-2] ビタミンB郡に着目
《ビタミンB群/ほうれん草との比較倍率 100g あたり》ビタミンB群 | モリンガ | ほうれん草 | 倍率 | |
---|---|---|---|---|
ビタミンB1 | 0.37mg | 0.05mg | → | 7.4倍 |
ビタミンB2 | 2.38mg | 0.11mg | → | 21.6倍 |
ナイアシン | 18.8mg | 0.3mg | → | 62.6倍 |
ビタミンB6 | 1.34mg | 0.08mg | → | 16.7倍 |
ビタミンB12 | 野菜・果実には含有されていない | |||
パントテン酸 | 1.77mg | 0.13mg | → | 13.6倍 |
ビオチン | 86.1μg | 6.90μg | → | 12.2倍 |
葉酸 | 890μg | 110μg | → | 8.0倍 |
TOTAL | 約25mg | 約0.7mg | 35.7倍 |
胎児と母体の健康サプリメント企画開発
◎妊婦と胎児に葉酸を含むビタミンB群は欠かせない!
◎産後の母体メンテナンスと、良質な母乳生成の為には葉酸を含むビタミンB群は欠かせない!
(厚生労働省:葉酸の重要性は2002年4月以降に交付された母子手帳に明記されています。)
葉酸について母子手帳に記されていること
「二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発生を減らすためには、妊娠前から妊娠初期の葉酸の摂取が重要であることが知られています。
葉酸は、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、いちご、納豆など、身近な食品に多く含まれています。 日頃からこうした食品を多くとるように心がけましょう。葉酸の添加された食品やサプリメントもありますが、単体での摂取過多は注意が必要です。
※神経管閉鎖障害とは、妊娠初期に脳や脊髄のもととなる神経管と呼ばれる部分がうまく形成されないことによって起こる神経の障害です。 葉酸不足の他、遺伝などを含めた多くの要因が複合して発症するものです。」
【引用元】厚生労働省 母子健康手帳の様式について(任意様式 67ページ)
・厚生労働省ホームページ「これからママになるあなたへ」
厚生労働省ホームページ「これからママになるあなたへ」ページへ
上記ページにて、パンフレット(外面PDF:1,075KB、内面PDF)をクリックしていただくと詳細をご覧いただけます。
葉酸含有植物トップ3とモリンガの含有量比較表
ほうれん草 | 210μg |
---|---|
ブロッコリー | 120μg |
納豆 | 20μg |
いちご | 90μg |
◆JPM農園産モリンガ乾燥葉末 | 890μg |
ビタミンB群とは...?
B1、B2、B3(ナイアシン)、B6、B12、パテント酸、ビオチン、葉酸など、糖や脂肪のエネルギー代謝に欠かせない8種類がビタミンB群です。
ビタミンB群は精神や神経の正常な働きに関与しているため、不足すると脳の働きが鈍り、苛立ち、うつ状態に陥りやすくなります。 ビタミンの中でもB群は、日本人に最も不足していると言われています。
消化と代謝を司る酵素が無ければ人は生きて行けないと言われています。 葉酸をはじめとするビタミンB群は代謝ビタミンとも呼ばれ、あらゆる種類の酵素の補酵素として働いています。
ビタミンB群は互いに関係し合って働いています。単体摂取では効果を期待できないため複合体での摂取が望ましい形です。 ビタミンB群豊富なモリンガに、DNA及びRNAに好影響を及ぼす核酸成分などを処方し、 「妊婦の健康」「元気な胎児」「良質母乳」をキーワードとした斬新な商品開発が望まれます。
癌治療専門クリニック院長のモリンガ・レポート
漢方薬は、生薬(=薬草)に含まれる成分の薬理作用によって薬効が得られます。 フィトケミカル(phytochemicals:植物ケミカル)というのは、広い意味では植物が合成する成分全てを意味しますが、 通常は、人間の生理機能に何らかの作用を示す薬効成分を言います。 つまり、抗酸化作用を示すフラボノイドや、免疫力を高める多糖成分や、様々な生理機能(薬効)を示すアルカロイドやテルペノイドなどです。 生体に必要な栄養素(蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)は通常はフィトケミカルに含みません。
漢方薬はフィトケミカルによる薬効を得ることが主な目的で、栄養素の補給という目的はあまり重視していません。 生薬にはビタミンやミネラルも豊富ですが、蛋白質や脂質や炭水化物はわずかしか含まれていません。 しかし、漢方治療で体力や治癒力を高めるときは、食事からの栄養摂取が十分であることが必須条件になります。 がんの漢方治療でも、漢方薬だけでは不十分で、食事からの栄養摂取も重要です。 体の自然治癒力を高めるためには、栄養素とフィトケミカルの組み合わせが重要だと言えます。 薬膳は食物と薬草を組み合わせて、栄養と薬効の両方の効果を目的にしています。 もし、栄養素が豊富でがんに対する薬効も持っているような植物があれば、一つで薬膳と同じような効果が期待できます。 今回紹介するモリンガの葉は栄養素が極めて豊富で、さらに様々な健康作用や抗がん作用を持つフィトケミカルも豊富なので、 体の治癒力を高める漢方治療に役立つ植物です。
モリンガの葉の薬効と栄養について
熱帯地方では、他の食品が乏しくなる乾燥期の終わりころにモリンガの葉は最も繁るので、食品としての利用度が高く、 生あるいは料理して食べたり、乾燥して粉末にしてスープなどに入れて食べるそうです。 乾燥した粉末は冷蔵庫に保管しなくても、高い栄養価を保持して数ヶ月は問題なく保存できるそうです。
葉は栄養素の含有量が極めて多く、同じ重量で比較すると、タンパク質は牛乳の2倍、カルシウムは牛乳の4倍、鉄はほうれん草の3倍、 ビタミンCはオレンジの7倍、ビタミンAはニンジンの4倍、カリウムはバナナの3倍と言われています。 この数値は生の葉の場合で、乾燥して粉末にしたものはこの数倍になります。 蛋白質や卵や牛乳に匹敵するほど良質でアミノ酸バランスが良く、多種類のビタミンやミネラルを高濃度に含み、食物繊維も豊富です。 さらにフラボノイドなど抗酸化作用や抗炎症作用をもった成分も豊富で、がん予防効果や抗老化作用も報告されています。
抗腫瘍活性が報告されている成分(Niazimicin、thiocarbamate, isothiocyanates,beta-sitosterolなど)も含まれています。 インド伝統医学のアーユルヴェーダでは古くから腫瘍の治療にモリンガが使用されていました。 貧血や高血圧、糖尿病、高脂血症、肝機能障害、リュウマチ、関節痛など様々な疾患を改善する効果が報告されています。 下痢や消化不良、胃炎や胃潰瘍、大腸炎など消化器系疾患を良くする効果もあります。 さらに、抗菌作用や抗ウイルス作用があり、様々な感染症(呼吸器感染症、尿路感染症、風邪、ヘルペス、エイズ、寄生虫、など)にも有効です。 解毒作用があるので、毒蛇やサソリによる咬傷の治療にも使用されています。
モリンガの葉を食べると出産後の母親の母乳の分泌を増やす作用があると言われています。 モリンガの原産地のインドは、世界最古の伝統医学「アーユルヴェーダ」発祥の地で、モリンガはアーユルヴェーダ医学で有用な植物とされています。 新生児や授乳中の母親の栄養補給に利用されるほど、栄養価が高く、しかも安全性の高い食品ですので、がん患者さんの栄養補給にも有用です。 多彩の栄養素を豊富に含み、諸臓器の働きを良くし、感染症の予防効果や、抗炎症作用や抗酸化作用があるので、 栄養補助と抗がん作用の両方の目的で、がんの漢方治療に役立つように思います。 ただし母乳の分泌を促進するので、エストロゲン作用が懸念されるので、乳がん患者さんには適さない可能性があります。
文部科学省:アミノ酸解説
1. アミノ酸とは
アミノ酸とは、一般には、1分子中にアミノ基とカルボキシル基をもつ化合物の総称として用いられるが、 アミノ酸の種類によっては、アミノ基はイミノ基である場合もあり、また、カルボキシル基でなく、スルフォノ基、ホスホノ基である場合もある。 以下では、特にこれを断らず、アミノ酸、アミノ基、カルボキシル基とだけ記述する。
アミノ酸は、自然界に遊離の形でも存在するほか、他のアミノ酸と結合してペプチドを形成している場合もある。 しかし、大部分のアミノ酸は、生物のからだを構成するたんぱく質(ポリペプチド)の構成成分として存在している。 食品も、大部分は生物体やその代謝産物であるので、食品に含まれるアミノ酸も、大部分はたんぱく質を構成するアミノ酸である。
2. ペプチド、たんぱく質とは
アミノ酸は、1分子の中に、アミノ基とカルボキシル基をもつので、あるアミノ酸のアミノ基と他のアミノ酸のカルボキシル基が脱水縮合して共有結合を形成する。 この結合をペプチド結合とよぶ。ペプチド結合を酸やアルカリなどの存在下で加水分解するとアミノ酸を生成する。
アミノ酸2つ以上がペプチド結合で結合した化合物はペプチドとよばれる。 2つのアミノ酸がペプチド結合で結合したペプチドをジペプチドとよび、数にしたがってトリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチドなどとよばれるが、 2から20程度のアミノ酸が結合したペプチドをオリゴペプチドと総称する(IUPAC&IUBMB-1983)(注1)。 さらに多数のアミノ酸が結合した物質をポリペプチドとよぶ。たんぱく質はポリペプチドで、天然に存在するアミノ酸の大部分は、たんぱく質の形で存在する。
3. 天然に存在するアミノ酸
天然に存在する大部分の遊離アミノ酸並びにペプチド及びポリペプチド(たんぱく質)を構成するアミノ酸は、α-アミノ酸で、 これは、カルボキシル基と結合した炭素原子(有機化合物の命名法における2(またはα)の位置の炭素原子)にアミノ基が結合しているアミノ酸である。 そのほか、3(またはβ)の位置の炭素原子にアミノ基が結合したβ-アミノ酸なども天然に存在するが、大部分のたんぱく質の構成アミノ酸ではない。 以下、α-アミノ酸を単にアミノ酸と呼ぶ。
4. たんぱく質を構成するアミノ酸
たんぱく質は、通常20種類のアミノ酸で構成されている。 それらは、50音順に、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、 システイン(システインは、スルフヒドリル基を持っているので、2分子のシステインの間で酸化によりジスルフィド結合が形成される。 このシステイン2分子で構成されるアミノ酸をシスチンという。 天然のたんぱく質には、ジスルフィド結合をしているシスチンが多いが、システインも存在する)、スレオニン(トレオニン)、 セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リジン(リシン)、ロイシンである。 生体にはさまざまな種類のたんぱく質が含まれているが、特定のたんぱく質を考えると、 いずれも、そのたんぱく質に特有の配列でアミノ酸がペプチド結合で結合している。 すなわち、あるたんぱく質のアミノ酸の配列は一定であり(同一種内で、ある特定のたんぱく質のアミノ酸の配列に遺伝的な違いがある場合は、 遺伝的多型とよばれる)、これは遺伝情報として世代を超えて伝達される。
5. 天然のアミノ酸の立体異性体
アミノ酸は、2(α)の位置の炭素原子に水素とアミノ基が結合し、また側鎖とよばれる原子団が結合している。 従って、側鎖が水素であるグリシンを除いて、2の位置の炭素原子が不斉炭素原子となるため、立体異性体が存在し、光学活性を有する。 IUPACおよびIUBMBが勧告している命名法(1983)では、アミノ酸の立体異性体はD、Lで表示することができ、 たんぱく質を構成するアミノ酸は、立体異性体のないグリシンを除いて、すべてL型である。また、より一般的にR、Sで表示することができ、 たんぱく質を構成する大部分のアミノ酸はS型で、システインはR型である。アラニンを例にFischerの投影式で示すと図 の通りである。 さらに、イソロイシン、スレオニンは、もう一つの不斉炭素原子をもっているので、その不斉炭素原子についても立体異性体が存在する。
6. アミノ酸の表示
アミノ酸は、一般に慣用名が広く使用されており、系統名が使われる場合は少ない。 記号として3文字記号が用いられるが、生化学の分野では、たんぱく質やペプチドのアミノ酸の配列順序を示す場合に、1文字記号が広く使用されている。 表 を参照されたい。
7. アミノ酸の側鎖
アミノ酸の化学的性質の違いは側鎖によって決まる。側鎖の性質によってアミノ酸が分類されることがある。
- 分岐鎖(分枝)アミノ酸(側鎖が疎水性の炭化水素で、分子全体の炭素鎖に分枝があるもの)
- イソロイシン、ロイシン、バリン
- 酸性アミノ酸(側鎖にカルボキシル基があり、酸性を示すもの)
- アスパラギン酸、グルタミン酸
- 中性アミノ酸(側鎖が中性であるもの)
- アスパラギン、アラニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、システイン、スレオニン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、プロリン、バリン、メチオニン、ロイシン
- 塩基性アミノ酸(側鎖が塩基性を示すもの)
- アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、リジン
- 含硫アミノ酸(側鎖に硫黄があるもの)
- システイン、メチオニン
- 芳香族アミノ酸(側鎖にベンゼン核をもつもの)
- チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン
- ヒドロキシアミノ酸(側鎖にヒドロキシル基があるもの)
- スレオニン、セリン、チロシン
- 酸アミドアミノ酸(側鎖が酸アミドになっているもの)
- アスパラギン、グルタミン
8. 必須アミノ酸アミノ酸の表示
アミノ酸には、体内で合成できるアミノ酸とできないアミノ酸がある。 前者を必須アミノ酸もしくは不可欠アミノ酸といい、これらのアミノ酸は、食事から摂取しなければならない。 ヒトでは9種類が必須アミノ酸である。 すなわち、イソロイシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、ロイシンである。 必須アミノ酸以外のアミノ酸は、非必須アミノ酸もしくは可欠アミノ酸といい、体内で合成できるアミノ酸である。 体内で合成できるけれども、生理的条件、遺伝的要因などによって、からだが必要とする量に見合う量を合成できないアミノ酸がある。 これらを条件必須アミノ酸ということがある。アルギニン、システイン、チロシンなどは、条件必須アミノ酸である。
9. アミノ酸の分析
本組成表に述べられているように、食品中のアミノ酸は、大部分がたんぱく質の形で存在しているので、 アミノ酸の分析を行う場合は、予めたんぱく質やペプチドを加水分解しておく必要がある。 大部分のアミノ酸は、塩酸による加水分解することによって定量できる遊離のアミノ酸となるが、 トリプトファンは、酸による加水分解では破壊されてしまうので、アルカリで加水分解して定量される。 また、酸によって完全に破壊されなくても、酸による加水分解によって一部が破壊されるシステインなどは、予め酸化してシステイン酸に変換し、 それを定量して求める。メチオニンも酸化してメチオニンスルホンの形で定量される。 グルタミンやアスパラギンのような酸アミドは、酸による加水分解によってグルタミン酸、アスパラギン酸へと変化するので、 本組成表では、グルタミンとグルタミン酸の合計量をグルタミン酸として、アスパラギンとアスパラギン酸の合量をアスパラギン酸として示している。
10. たんぱく質の栄養価の判定
われわれは、必須アミノ酸を摂取しなければならないが、われわれが通常摂取するアミノ酸は、たんぱく質の構成成分としてのアミノ酸である。 たんぱく質は、消化過程で加水分解されて、遊離のアミノ酸の形で血液中へと達し、体内で代謝され、またたんぱく質などの合成に利用される。 われわれは必須アミノ酸を必要とするが、9種類の必須アミノ酸それぞれについて、どの程度の量を必要とするかは、栄養学の研究によって明らかにされている。 摂取するたんぱく質が、どれだけの量のアミノ酸を含んでいるかを知ることによって、 アミノ酸が摂取されている量を知ることができることは、栄養学上重要である。 しかし、実際はたんぱく質を摂取するので、しばしばたんぱく質の栄養価が問題となる。 たんぱく質の栄養価とは、ほとんどの場合たんぱく質のアミノ酸組成で決定される。 特に消化率の低いたんぱく質の場合、分析値は高くても栄養価が低い場合があるが、大きな問題になるケースは少ない。 われわれが必要とするアミノ酸の量に関する知見を基礎に、その量を充足するだけの必須アミノ酸が食事のたんぱく質に含まれているかが問題にされることがある。 歴史的には、栄養価の高いたんぱく質の必須アミノ酸組成と、問題にするたんぱく質や食事のアミノ酸組成の比較が行なわれた時代があるが、 現在では、われわれの必須アミノ酸必要量に関する知見を基礎に、食事のたんぱく質に含まれていることが望ましい、 もしくは含まれているべきアミノ酸の量を求め、その量と、実際に摂取するたんぱく質のアミノ酸組成を比較してたんぱく質の栄養価を判定する場合がある。 この標準となるアミノ酸組成を、通常「評点パターン」とよぶ。 食事摂取基準の策定に際して、わが国では、「評点パターン」による摂取たんぱく質の栄養価の評価法を使わず、 食事調査などをもとに、日本人が食べているたんぱく質については、評点パターンを充足しないものはないとし、 消化率のみを良質なたんぱく質の90パーセントであると判断して、たんぱく質の所要量を求める場合の補正項としている。
11. アミノ酸組成表について
このアミノ酸組成表を用いることによって、摂取している食品の種類と量がわかれば、食事からどれだけのアミノ酸が摂取されているかを求めることができる。 その結果は、集団間のアミノ酸摂取量の比較などに用いることができ、また、全国又はある地域のアミノ酸の需給状況の判断に使うこともできる。 また、アミノ酸の摂取量に配慮すべき疾病に罹患した場合の患者が、食事からどれだけのアミノ酸を摂取しているかを知るためにも使うことができ、 それらの患者の食事設計のための資料として使うこともできる。 現在、健常人の各必須アミノ酸の食事摂取基準は決められていないが、 将来それが策定された場合には、本表は、個人や集団のアミノ酸摂取量の適否を判断するための基礎資料となり得る。